キャッシュレス・ポイント還元制度によりさらに盛り上がるポイント制度ですが、税務上の取り扱いはどのようにしたらよいのでしょうか?
ポイントは課税対象になる?
原則として、通常の商取引において、値引きを受けたとしても利益を受けたとは認識しないのと同様に、企業が発行するポイントのうち、決済代金に応じて付与されるポイントの取得又は使用については、課税対象とはなりません。
ただし、ポイント付与の抽選キャンペーンに当選するなどして、臨時・偶発的に取得したポイントは、通常の商取引における値引きとは性質が異なるため、使用したポイント相当額を使用した日の属する年分の一時所得とすべきと考えられます。
一時所得とは?
一時所得は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で、労務その他役務又は資産の譲渡等の対価としての性質を有しないものと定義されますが、具体的には、保険料を自分で負担した生命保険契約に基づいて支払いを受ける一時金や、懸賞の賞金品、競馬の馬券の払戻金、従業員の発明等に基づく報奨金等が該当し、一時所得の金額は、
(総収入金額)-(その収入を得るために支出した金額)-(一時所得の特別控除額)
の計算式により算出され、一時所得の特別控除額は50万円を上限とし、この算式により計算された一時所得の2分の1に相当する金額が、他の所得と総合されて計算されることとなります。
従って、他の一時所得がない限り、抽選キャンペーンで取得したポイントがあっても50万円までは課税されないということになります。
事業者がポイントを使用する場合は?
事業者が備品等を購入する際にポイントを使用した場合で、自社ポイントを利用した場合には、値引きに当たるので単純に、ポイント使用後の支払い金額を取得価額とすればよいと考えられます。
しかし、共通ポイント(他社ポイント)やキャッシュレス・ポイント還元の即時充当は、値引きではないため、ポイント使用前の支払金額を取得価額とするとともに、ポイント使用額を雑収入に計上するのが正しい処理となると考えられます。
また消費税の課税事業者であれば、消費税の仕入税額控除額も気になるところですが、値引きの場合には、値引き後の金額が、値引きではない場合には、商品の対価全額が課税仕入れとなり、ポイント使用分の雑収入は、消費税は不課税処理となります。