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新型コロナウイルス感染拡大下における役員報酬の期中減額について

役員報酬を期中に増額あるいは減額すると損金不算入となることは、会社経営をしていらっしゃる方であればよくご存知かと思います。

そんな中、日経新聞において、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、中堅企業では役員報酬の減額が相次いでいる旨報道されました。

では、減額された役員報酬は法人税法上どのような扱いになるのでしょうか。

法人税法施行令においては、定期給与の額につきその法人の経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由によりその改定がされた場合(減額された場合に限り、通常改定又は臨時改定事由によりその改定がされたものを除く。)において当該事業年度のその改定前後のそれぞれの期間における支給額が同額であるという要件を満たすものは、定期同額給与に該当し損金の額に算入されることとされています。

またここにおける「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」とは通達においては経営の状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいうのであるから、法人の一時的な資金繰りの都合や単に業績目標に達しなかったことなどはこれに含まれないことに留意するとされています。

この場合、どのような事情が生じたときが該当するかについては、事柄の性質上、個々の実態に即して判断するほかなく、いずれにしても事前に定められていた役員給与の額を減額せざるを得ないやむを得ない事情が存するかどうかにより判定することになると考えられます。

参考としては、平成20年12月「役員給与に関するQ&A」のQ1(業績等の悪化により役員給与の額を減額する場合の取扱い)がありますが、この事例は、上半期の業績が予想以上に悪化したため、株主との関係上役員としての経営上の責任から自ら定期給与の額を減額することとして、取締役会で決議した場合であり、今般の新型コロナウイルスの不可抗力による影響とはややニュアンスを異にしています。

ただここにおいて、通常、業績悪化改定事由による改定に該当する場合の例示として

  1. 株主との関係上、業績や財務状況の悪化についての役員としての経営上の責任から役員給与の額を減額せざるを得ない場合
  2. 取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケジュールの協議において、役員給与の額を減額せざるを得ない場合
  3. 業績や財務状況又は資金繰りが悪化したため、取引先等の利害関係者からの信用を維持・確保する必要性から、経営状況の改善を図るための計画が策定され、これに役員給与の額の減額が盛り込まれた場合

が挙げられています。

さらに、これらの事例以外の場合であっても、経営状況の悪化に伴い、第三書である利害関係者との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情があるときには、減額改定をしたことにより支給する役員給与は定期同額給与に該当すると考えられるとされています。

また、同じ不可抗力による事態として東日本大震災時における役員給与の減額に関する取扱いに関して確認してみましたが、従前と同じく個々の事情で判断されていたようです。 今回の新型コロナウイルス感染拡大における業績悪化は、改定事由1の役員に経営責任が問われるものではなく、2のリスケジュール協議におけるものではないでしょうが、第三者である利害関係者との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情があるときと考えられ、さらに経営状況の改善を図るための計画の策定がされるとなお望ましいということになると考えられます。

また、Q2の(業績の著しい悪化が不可避と認められる場合の役員給与の減額)は、主要な得意先の業績悪化により、当社の売上減少が将来的に見込まれる場合の事例ですが、役員給与の減額が、役員給与の減額などの経営改善策を講じなければ、客観的な状況から今後数値的指標が著しく悪化することが不可避と認められる場合は、業績悪化改定事由による改定に該当すると考えられるとされています。

つまり、現状では数値的指標が悪化しているとまでは言えないものの、役員給与の減額などの経営改善策を講じなければ、客観的な状況から今後著しく悪化することが不可避と認められる場合には業績悪化改定事由に該当すると考えられるということです。

また、事前確定届出給与についても届出額の支給が業績悪化改定事由に該当するのであれば、事前確定届出給与に関する変更届出を提出することで、当該事業年度に減額しても変更届出どおりの支給であれば損金不算入とはならないこととなっています。 ただ、業績や財務状況、資金繰りの悪化といった事実が生じていたとしても、利益調整のみを目的として減額改定を行う場合には、やむを得ず役員給与の額を減額したとはいえないことから、業績悪化改定事由に該当しないことは言うまでもないことですから慎重な判断が必要です。