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新型コロナウイルス感染症に関連する税務上の取り扱いについて《所得税編》

国税庁は、4月13日に、新型コロナウイルス感染症に関連する税務上の取り扱いに関するFAQを更新しました(全文はこちら)。

これにつきましては、特に新たに設けられた規定等は一部を除きございませんが、来年の申告の参考になりますのでポイントを絞って取り上げていきたいと思います。

 

《個人事業者の事業所得に赤字(損失)が生じた場合の取扱い》

令和2年において事業所得などに生じた赤字(損失)の金額がある方の税制上の取扱いについては、青色申告を行っている事業者と、白色申告を行っている事業者との違いによりそれぞれ、次のとおり取り扱われます。

【青色申告の方】

事業所得などに赤字(損失)の金額がある場合で、他の所得と通算(損益通算)しても、なお控除しきれない部分の金額(純損失の金額)が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間(令和3年から令和5年)にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除することができます(純損失の繰越)。

また、純損失の金額が生じた年の前年(令和元年)も青色申告をしている場合には、 その損失の金額の全部又は一部を前年(令和元年)に繰り戻して、前年分(令和元年分)の所得税の還付を受け(純損失の繰戻し)、繰り戻さなかった損失の金額を翌年以後3年間(令和3年から令和5年)にわたって繰り越すことができます。

純損失の繰戻しの適用を受けるためには、繰戻しを行う純損失が生じた年分(令和2年分)の確定申告書とともに原則として確定申告期限(延長後の期限をいいます。)までに、「純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書」を所轄の税務署長に提出する必要があります。

 

【白色申告(青色申告以外)の方】

事業所得などに赤字(損失)の金額がある場合で、他の所得と通算(損益通算)しても、なお控除しきれない部分の金額(純損失の金額)のうち、「事業用資産に生じた災害による損失等」については、その損失額を翌年以後3年間(令和3年から令和5年)にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除することができます。

「事業用資産に生じた災害による損失等」とは、棚卸資産や事業用の固定資産などに生じた災害による損失をいい、その災害に関連するやむを得ない支出で一定のものを含みます。

 

(参考1)事業用資産に生じた災害による損失等の取扱い

今般の新型コロナウイルス感染症に関連した「事業用資産に生じた災害による損失等」 については、次のとおり、取り扱って差し支えありません。

〔災害により生じた損失等(翌年以後に繰り越される損失等)に該当する例〕

  • 飲食業者等の食材(棚卸資産)の廃棄損
  • 感染者が確認されたことにより廃棄処分した器具備品等の除却損
  • 施設や備品などを消毒するために支出した費用 ・ 感染発生の防止のため、配備するマスク、消毒液、空気洗浄機等の購入費用 ・ イベント等の中止により、廃棄せざるを得なくなった商品等の廃棄損

※ 「災害により生じた損失等」とは、棚卸資産や固定資産に生じた被害(損失)に加え、その被害の拡大・発生を防止するために緊急に必要な措置を講ずるための費用が該当します。

〔災害により生じた損失等(翌年以後に繰り越される損失等)に該当しない例〕

  • 客足が減少したことによる売上げ減少額
  • 休業期間中に支払う人件費
  • イベント等の中止により支払うキャンセル料、会場借上料、備品レンタル料

※ 上記のように、棚卸資産や固定資産に生じた被害の拡大・発生を防止するために直接要した費用とは言えないものについては、「災害により生じた損失等」に該当しません。

 

(参考2)個人事業者の繰戻還付及び繰越控除の適用の有無について

   青色申告
(災害による損失かどうかを問わない)
 白色申告
 災害損失  災害損失以外
 繰越還付  ○
(1年繰戻し可)※
 ×
 繰越控除  ○
(3年繰越し可)※
 ○
(3年繰越し可)
 ×

※ 青色申告者の繰戻還付(純損失の繰戻し)及び繰越控除(純損失の繰越控除)については、災害損失とそれ 以外の損失で取扱いは変わらず、純損失の全額が繰戻還付及び繰越控除の対象となる。また、純損失の金額の全部又は一部を前年分に繰戻し、繰り戻さなかった損失の金額を翌年以後に繰り越すことも可能。

 

《個人に対して国や地方公共団体から助成金が支給された場合の取扱い》

国や地方公共団体からの助成金については、個別の助成金の事実関係によって、次のとおり課税関係が異なります。

【非課税となるもの】

  1. 助成金の支給の根拠となる法令等の規定により、非課税所得とされるもの
  2. その助成金が次に該当するなどして、所得税法の規定により、非課税所得とされるもの
  3. 学資として支給される金品
  4. 心身又は資産に加えられた損害について支給を受ける相当の見舞金

 

【課税となるもの】

  1. 事業所得等に区分されるもの 例えば、事業者の収入が減少したことに対する補償や支払賃金などの必要経費に算入すべき支出の補填を目的として支給するものなど、業務上の取引に関連して支給さ れる助成金 (注)支払賃金などの必要経費を補填するものは、その支出そのものが必要経費になり、また、収入減少などにより所得金額が生じないときには実質的に課税対象になりません。
  2. 一時所得に区分されるもの 例えば、臨時的に一定の所得水準以下の方に対して支給するなど、業務上の取引に 関連しないもので、一時に支給される助成金 (注)一時所得については、所得金額の計算上、50 万円の特別控除が適用されることから、他の一 時所得とされる金額との合計額が 50 万円を超えない限り、課税対象になりません。
  3. 雑所得に区分されるもの上記1、2に該当しない助成金
    ※ 一般的な給与所得者については、給与所得以外の所得が 20 万円以下である場合には、確定申告不要とされています。

《 青色申告の承認申請の取扱い》

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、申告所得税(及び復興特別所得税)、贈与税及び個人事業者の消費税(及び地方消費税)に係る申告・納付等のうち、その期限 が令和 2 年 2 月 27 日(木)から同年4月 15 日(水)までの間に到来するものについては、その期限を同年 4 月 16 日(木)まで延長され、さらに、この期限に申告・納付等が間に合わない方については、同年4月 17 日(金)以後であっても、申告書等の作成や提出が可能となった時点で税務署に申し出ていただければ、個別に期限延長の取扱いをすることとしています。

期限延長の対象となる手続には、申告・納付手続のほか、税務署長に対する各種申請、 請求、届出その他書類の提出についても含まれており、所得税の青色申告の承認申請に ついても同様に期限延長の対象となりますので、帳簿書類の備付け・保存などが青色申 告の所定の定めに従って行われている場合には、その申請により、令和 2 年分の所得税 から青色申告をすることができます。

(注) 個別の期限延長の取扱いは、申告や申請等をすることができないやむを得ない理由がある場合に認められるものです。 したがって、例えば、令和2年 4 月 17 日(金)以後に修正申告や更正の請求などの手続を行った 後、別の日に青色申告の承認申請を行う場合には、その申請をすることができないやむを得ない理由 があったとは認められず、令和2年分の所得税から青色申告をすることはできませんので、ご注意く ださい。

 

(参考)青色申告の特典(主なもの)

〈最高 65 万円の青色申告特別控除〉

事業所得又は不動産所得を生ずべき事業を営む方が、正規の簿記の原則に従い記帳し、 その記帳に基づき作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、確定申告書を提出期限内に提出する場合は、これらの所得を通じて次の金額を控除することができます。それ以外の場合は、事業所得等を通じて最高 10 万円を控除することができます。 1 e-Tax による申告(電子申告)又は電子帳簿保存の要件を満たしている場合 最高 65 万円 2 上記1以外の場合 最高 55 万円

〈青色事業専従者給与の必要経費算入〉

青色申告者と生計を一にしている配偶者や 15 歳以上の親族で、その事業に専ら従事している人(青色事業専従者)に支払った給与は、あらかじめ納税地の所轄税務署に提出した届出書に記載された金額の範囲内で、青色事業専従者の労務の対価として適正な 金額であれば必要経費とすることができます。

〈純損失の繰越しと繰戻し〉

事業所得等が赤字となり、純損失が生じたときは、その損失額を翌年以後 3 年間にわ たって各年分の所得から差し引くことができます(純損失の繰越し)。また、前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて、その損失額を前年分の所得に繰り戻 して控除し、前年分の所得税の還付を受けることもできます(純損失の繰戻し)。

 

以上ご覧になっていただいた通り、平時でも青色申告は税制上有利な取扱いとなっておりますが、今般のコロナ禍においてはさらにその有利性が圧倒的なものとなっております。 さらに青色申告承認申請手続きについても個別期限延長の対象となっておりますので、今回確定申告をなされた方で青色申告承認申請書の提出ができなかった方でも新型コロナウイルスの感染拡大の影響であれば期限は延長されておりますので、申請書提出をご検討なされるとよろしいかと思います。