観光庁では、テレワークの浸透とコロナ後における観光業界の復興の意図もあってかワーケーションの普及と促進を図っているようです。
そこで、今回はワーケーションとコロナ明けに活発化すると思われる海外渡航の税務上の取扱いについて確認をしておきたいと思います。
まず、気分転換のためにリゾート地に赴いてリモートワークで仕事を行うといった際の交通費や宿泊費ですが、これは、法人の業務の遂行上直接必要なものとは考えられないため、会社が負担したとしてもその従業員に対する給与、役員であれば賞与(さらに損金不算入)として課税しなければなりません。
ではどのようなものが認められるかといいますと、その旅行の直接の動機が業務の遂行のためであり、その旅行を機会に観光を合わせて行うような場合であれば、その出張先や研修先から観光地への交通費やその地での宿泊費を除いた業務に直接必要なものと考えられる交通費や宿泊費であり、そのような費用は給与課税する必要がないということとなります。
また、その旅行の直接の動機が業務の遂行のためであるかどうかは、その旅行の目的、旅行先、旅行経路、旅行期間等個々の事実関係に基づき総合的に判断されることとなります。
次に、高額になりがちな海外渡航費に関してですが、国内出張と同様にその海外渡航がその法人の業務の遂行上必要なものであり、かつ、その渡航のため通常必要と認められる部分の金額に限り、旅費として認められます。
なお、その海外渡航が旅行期間のおおむね全期間を通じ、明らかに法人の業務の遂行上必要と認められるものである場合には、その海外渡航のために支給する旅費は、社会通念上合理的な基準によって計算されている等不当に多額でないと認められる限り、その全額が旅費として認められることとなります。
なお、「業務の遂行上必要と認められる旅行と認められない旅行とを併せて行った場合の旅費」については、その海外渡航に際して支給する旅費を法人の業務の遂行上必要と認められる旅行の期間と認められない旅行の期間との比等により按分し、法人の業務の遂行上必要と認められない旅行に係る部分の金額については、その役員または使用人に対する賞与または給与となるか、個人に精算してもらうかの取扱いとなります。
ただし、海外渡航の直接の動機が特定の取引先との商談、契約の締結等法人の業務の遂行のためであり、その海外渡航を機会に観光を併せて行うものである場合には、その往復の旅費(その取引先の所在地等その業務を遂行する場所までのものに限ります。)は、法人の業務の遂行上必要と認められるものとして、その海外渡航に際して支給する旅費の額から控除した残額につき、上記「業務の遂行上必要と認められる旅行と認められない旅行とを併せて行った場合の旅費」の取扱いとなります。
なお、一般に海外渡航費は高額となるため、旅行の主催者、目的、日程、費用、内容、参加者名簿等具体的に説明する書類や資料等を保管しておきましょう。
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