経営通信

非居住者の株式譲渡

海外移住後の株式譲渡は節税になる?

多額の含み益を抱える株式を保有していてもキャピタルゲインが非課税の国に移住した後に株式を譲渡すれば税金はかからないのではないかと考える方もいるかもしれません。

この場合、上場株式、非上場株式、保有する株式の総額によって異なりますので分けて考える必要があります。

上場株式の場合は?

まず上場株式ですが、日本の証券会社に口座をお持ちの場合、非居住者になる時点でその旨届出が必要となり、口座が閉鎖又は取引制限が行われることとなります。

この段階で早くも含み益を抱える上場株式を海外で売買してキャピタルゲインの非課税扱いを享受することが不可能になってしまうことがお判りいただけるものと思います。

次に、立ちはだかるのが国外転出時課税制度です。これは、上場・非上場に関わらず、全ての有価証券等(匿名組合契約の出資持分その他を含む)が対象となる制度で居住者が国外に転出する際に、有価証券等の対象資産を合計で1億円以上所有している方は、その対象資産の含み益に対して所得税が課税されるという制度です。

もちろん納税猶予制度や、帰国した際の課税の取り消しなどはできますが、価格変動が相対的に大きい上場株式等について、取引制限されたうえで、納税する方などは創業一族などごく一部でそれ以外の方々はこの制度がある限り国外に転出する際に一旦持分を精算されるのではないかと思います。

ちなみに上場株式の場合1億円の判定は出国3か月前か国外転出時の市場価格を基礎として計算します。

非上場株式の場合は?

次に非上場株式の場合を検討してみましょう。

まず、この国外転出時課税制度は、非上場株式も対象となります。最近は非上場株式であっても毎期財産評価基本通達によって株価算定を行う方が増えていますが、ここにおける1億円の判定は、売買実例のあるもの、類似会社の株式の価額のあるものというレアケースを除くと、財産評価基本通達による評価方法ではなく、その株式の発行法人の1株当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額によることとされています。

この評価方法は、財産評価基本通達における類似業種比準価額が使えないため、一般的には特に財政状態の優良な企業においては、財産評価基本通達による評価よりも高額になることが多いです。

この制度により、将来的に売却する予定のない株主であっても、評価額の総額によっては国外に転出する際に国外転出時課税制度による納税あるいは納税猶予というやや面倒な取扱いを受けなければならないということになります。

1億円未満の非上場株式の場合は?

では、1億円未満の非上場株式を保有しながら国外転出した場合にはどうなるのでしょうか?

この場合には、当然転出時課税の対象にはなりませんが、非居住者であったとしても、譲渡時にはその転出先の国と租税条約を締結しているかどうかによって異なり、租税条約を締結していれば租税条約を優先し、締結していなければ国内法によることとなります。

一般的なパターン

非居住者による株式譲渡で課税される一般的なパターンとしては、事業譲渡類似株式の譲渡ですが、これは株式譲渡以前に25%以上の株式を保有していた大口株主が、5%以上を譲渡した場合で多くのM&Aが該当すると考えられます。

他に不動産関連法人の株式譲渡ですが、これは株式譲渡日から1年以内に保有する資産総額のうち、日本国内にある土地等の価額の合計額が50%以上を占める法人、もしくは、このような法人の発行済株式の50%以上を保有している法人の株式を譲渡した場合です。

ただし、これらの規定は国内法によるものですので、租税条約を締結している国又は地域への転出の場合には、その租税条約(協定)によることとなります。

海外移住による税務上の取り扱いについて疑問があればこちらからお気軽にご相談ください。

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