表題の通り、令和6年5月(今月分より)から、今まで税務署から郵送されていた国税の予定納税(所得税・法人税)の納付書が届かなくなりました。
日常の様々な支払においてキャッシュレスが一般的になっています。
しかし一方で、納税については確定申告時の納税は別として、予定納税については税務署から郵送された納付書でそのままの金額をあまり深く考えずに納税している方がほとんどなのではないでしょうか。
その税務署からの納付書の送付が今月から一部取りやめになるのです。
納付書の事前送付がなくなる対象者は?
下記に該当する方はR6年5月以降、原則として納付書が郵送されなくなります
<事前送付の対象外となる方>
①e-Taxによる申告が義務化されている法人
②e-Taxにより申告書を提出している法人
③e-Taxで「予定納税額の通知書」の通知を希望された個人
④納付書を使用しない次の手段により納付している個人・法人
- ダイレクト納付(e-taxによる口座振替)
- 振替納税
- クレカ納付、コンビニ納付、スマホアプリ納付、ネットバンキング等による納付
※BPS国際税理士法人ではe-Taxにより申告書を提出していますので、弊社に申告のご依頼を頂いているすべてのお客様が対象となります。
決算申告時には納付書の送付がなくても納付を忘れることはないでしょうが、予定納税(中間納税)については、決算期ほど納税に関する意識が働いていないことが多いため特に注意が必要です。
※現時点では源泉所得税の徴収高計算書(納付書)や、消費税の中間申告兼納付書の送付は継続されています。
予定納税とは?
予定納税とは、確定申告(決算時)に納付する税金の一部を前もって納める制度です。
対象者は、前年度の年税額が一定の金額を超えた納税者となります。予定納税が必要となる税目には所得税・消費税・法人税の3つがありますが、今回納付書の事前送付がなくなってしまうのは、そのうち法人税及び個人の所得税です。
1.法人税の予定納税
対象者 | 前年(期)の年税額が20万円を越えたもの |
算定方法 | 前年(期)の年関税額を2分の1した金額 |
納税時期 | 事業年度開始から半年を経過した月から2ヶ月以内 例)3月決算の場合、11月が申告期限 |
※予定納税の期限までに納付できなければ基本的に延滞税や加算税が生じます。
※この表に該当する方は、予定納税の納付義務があるということになります。
2.個人の所得税の予定納税
対象者 | 前年(期)の年税額が15万円以上だったもの |
算定方法 | 前年(期)の年関税額を3分の1にした金額 |
納税時期 | 1期(7月1日~7月31日)と2期(11月1日~11月30日)で予定納税が発生 |
※予定納税の期限までに納付できなければ基本的に延滞税や加算税が生じます。
※この表に該当する方は、予定納税の納付義務があるということになります。
納付書が送られてこないのであればどのように納付したら良いのでしょうか?
次の方法により納税していただくことになります。
振替納付 | 一度登録した口座から毎年自動で引き落とし。 |
クレジットカード納付 | 専用のインターネットサイトにてクレジットカードで納付可能。手数料が発生。 |
ダイレクト納付(e-Tax) | 指定した期日で口座振替。 |
直接納付 | 現金と納付書を持って管轄の税務署または金融機関へ出向くことで直接納付可能。 |
ペイジー納付 | 税金をインターネットバンキングやATM等を通じて行う電子決済サービス。 |
振替納付(所得税のみ)とダイレクト納付をするにはあらかじめ手続きが必要であるため、手続きをなさっていらっしゃらない方はそれ以外の①クレジットカード納付、②直接納付、③ペイジー納付からご選択いただくことになります。
①クレジットカード納付
クレジット納付についてはこちらのサイトより行っていただけます。
②直接納付(紙の納付書による金融機関の窓口での納付)
紙の納付書は税務署の窓口に行けばもらうことができます。その納付書に金額をご自身で記入し、税務署もしくは金融機関窓口でお支払いいただけます。
③ペイジー納付
ペイジー(Pay-easy)を利用して、インターネットバンキングやATM等を利用して納税いただけます。ご利用いただくにはe-Taxにログインしていただき、ペイジー納税に必要な番号を確認する必要があります。
まとめ
・令和6年5月からe-Taxを利用して電子申告している方は国税(法人税・所得税)の予定納税の納付書の事前送付が廃止された。
・納付書が届かないからといっても納税をしなければ、基本的に延滞税や加算税の対象となる。
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令和5年インボイス制度の導入と同時に、関税法施行令が改正され輸出入の許可を得るための申告書において、「輸入者の住所及び氏名」が輸入申告項目に追加され、同時に輸入申告者(貨物を輸入する者)の意義が明確化されました。
これにより、輸入申告は輸入代行者が行うことができなくなり、販売者自身が輸入申告を行わなければならなくなりました。
また、関税法第95条において、日本に恒久的施設を有しない非居住者である個人及び法人が税関手続等を処理する必要があるときは、日本に住所又は本店を有する税関事務管理人を定めなければならなくなりました。
この規定は、典型的には日本に恒久的施設を有しない非居住者である個人及び法人がFBA(フルフィルメントバイAMAZON)等のECプラットフォーム運営事業者等が提供するフルフィルメントサービス(購入者の注文受付から配送配送完了までの一連の業務全般(受注、在庫管理、梱包、発送、受渡し、代金回収等)を請け負うサービス)を利用して国内で販売することを予定している事業者が該当することとなります。
つまり、日本国内に恒久的施設を有しない消費税の課税事業者(含インボイス登録者)の非居住者である個人及び法人が原則課税により申告を行う場合、仕入れ税額控除を行うことができるのは税関事務管理人を定めて税関関係手続等の処理を行わせた場合に限られるということになります。
さらに追い打ちをかけるように、令和6年度税制改正大綱によると2024(令和6)年10月1日以後に開始する課税期間からは、課税期間の初日において日本国内に恒久的施設を有しない国外事業者は簡易課税制度及びインボイス制度における2割特例を使えないこととされています。
つまり、課税期間の初日において日本において恒久的施設を有しない課税事業者である国外事業者の全てが税関事務管理人を定めなければ消費税の納税上著しく不利な扱いを受けることとなります。
また、国外事業者における免税事業者の判定においても、国外事業者以外では、基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円以下の場合であっても、前年上半期の国内における課税売上高及び居住者給与の合計額が1,000万円を超えると課税事業者となるのが、国外事業者においては、前年上半期の国内における課税売上高が1,000万円を超えたことのみをもって課税事業者となることとなります。
つまり、国外事業者がECプラットフォームを利用して商品を販売する場合、前年上半期の売上高が1,000万円超であっても、居住者給与が1,000万円を超えることがほとんどあり得ないため、従来はこの判定により課税事業者となることはあり得なかったのが、前年上半期の売上のみで判定されることとなったため、対象事業者が多数生じることが予想されます。
また、納税義務の判定における資本金の基準において外国法人は、国内における事業開始時における資本金が1,000万円以上であれば納税義務が課されることとなります。
さらに国内外の収入金額が50億円を超える事業者が直接又は間接に支配する法人を設立した場合には、その法人は納税義務が免除されないということになります。
これら令和6年度税制改正大綱は、国会での可決をもって成立となりますが、これらを見据えて税関事務管理人の選定や事業の計画をなされるのが賢明と思われます。
税関事務管理人の選定や消費税の納税や還付でお悩みの方はお気軽にBPS国際税理士法人にお問合せください。お問い合わせはこちらから。