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不動産購入、個人と法人どちらが良い?
外国人に限らず不動産を購入するにあたって、法人を設立して法人で購入するのがいいのか、個人で購入するのがいいのかといったご質問をよくいただきます。
これは、物件にもよりますし、その物件に実際に住むのか、投資用なのか、投資用でも長期保有で収益目的なのか、短期売買でキャピタルゲイン目的なのか等まさにケースバイケースなのですが、一定の条件下においてはやはり有利不利は存在します。
非居住者や外国法人は?
例えば、外国人が外国に会社を設立し、その会社が日本の不動産を保有する場合を検討してみます。
まず、非居住者又は外国法人は、日本国内で不動産収入を得た場合には国内源泉所得として日本で課税されることとなります。
ここで、非居住者は日本で確定申告をするわけですが、非居住者の居住国が全世界所得課税国であれば居住国の所得と合算して申告し、租税条約によっては二重課税を排除するため外国税額控除が適用できる場合もあります。
これが、外国法人であれば、日本に法人があるものと擬制して日本で法人税の申告をし、さらに本店の所在国でも申告するわけですが、日本の不動産保有以外にその会社で事業活動を行っていなければ、法人設立国の税制にもよりますが、かなりの低税率又は無税のことも多いです。
ちなみに、非居住者及び外国法人いずれの場合も住民税はかかりません。
不動産を譲渡した場合の取り扱い
また、この不動産を譲渡した場合ですが、非居住者であれば居住者同様譲渡所得税が発生し、外国法人であれば内国法人同様法人税が発生します。
不動産を所有している法人を売却した場合
ここで、外国法人の場合であれば、仮にこの法人がその不動産のみを所有する法人であったとしたらその不動産を売却するのではなく、その会社の株を売却しようと考えるかもしれません。
この場合、その法人が有する資産価額の総額のうち国内にある不動産の価額等が占める割合が50%以上であるため税法上不動産関連法人に該当しますので、その株の保有者が非居住者であっても国内源泉所得に該当することとなっています。
なお、ここでいう価額とは帳簿価額ではなく時価となります。
不動産を所有している法人が相続、贈与された場合
では、この株式が相続あるいは贈与された場合であればどうでしょうか。
相続税法においては、「国内住所も日本国籍も有していない個人」から「国内住所も日本国籍も有していない個人」への相続や贈与であれば国内財産のみが課税対象となるとされています。
相続税法において国内財産に該当するかどうかは、不動産については、その所在国が国内であれば国内財産ですが、株式等有価証券であれば、その発行法人の本店(又は従たる事務所)の所在地によって判定されるため外国法人の株式は国外財産に該当することとなります。
つまり、相続・贈与による株式の移転は日本においては、課税対象外として取り扱われます。
ただし、海外においては相続税のない国も多くありますが、その非居住者の居住国の税制も検討の必要があります。
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