経営通信

不動産保有法人を活用した相続税の節税

相続税の事前対策、どこまでできる?

相続税は、事前対策によって驚くほど減額になることもあり得ますが、被相続人(親等)の死亡を前提として対策をすることが、被相続人の感情を害する可能性があること、また、遺産分割は全ての相続人(子等)同士トレードオフ関係にあることなどから、事前対策はあまり進まないことが多いです。

しかし、被相続人としても相続人が生前に喜ぶ顔が見られるあるいは相続人間に争いが生じないようにということであれば是非とも対策をすべきでしょう。

法人設立による相続税の節税

ここでは不動産保有法人を活用した節税手法をご紹介いたします。

賃貸マンションやアパートに適した土地をお持ちの方であれば、子供を株主とした法人を設立し、融資により賃貸マンション等を建築し不動産所有法人とします。

実質的支配者等の関係から子供を株主とした法人による融資が難しいのであれば、親が株主となっても構いません。

この辺りは事前に金融機関と相談しておく必要があります。

子供を株主として法人で融資を受けることができるのであれば話は簡単で、不動産の収入から借入金を返済するとともに、子供を役員とすることにより役員報酬を支払います。

親の土地の上に建てた不動産の収入によって株価は上昇しますが、株主は子供ですから親の相続財産が増えるわけもなく、もちろん相続税にも影響しません。

また法人から受け取る役員報酬を子とすれば親の相続財産を増やすこともなく、親と比較すると一般的には所得税が低税率ですので家族の手取りも増加することとなります。

つまり、親が受け取るはずであった役員報酬によって蓄積された金融資産に対する相続税を払うことなく、子が財産を受け取れることになります。

法人を活用した相続税の節税の注意点

ただここで注意すべきは、個人所有の土地の上に法人が建物を建てるわけですから、税務上その土地の所有者である個人側で土地の使用権である借地権を法人に譲渡したという取扱いを生じさせないようにしなければならないということです。

そのためには、税務署に『土地の無償返還に関する届出書』を提出しなければなりません。

この届出書は、建物所有者が将来無償で土地の利用権を土地所有者に返還するので土地の所有者側で借地権の譲渡をしたという税務上の取り扱いをしなくていいですよねといったニュアンスのものです。

この届出書には、借地権の設定等と使用貸借契約があり、借地権の設定等とは、賃貸借契約を結び、相当の地代を収受するというもので、使用貸借契約は、地代のやり取りをしないというものです。

その違いは、借地権の設定等であれば、相続時の土地の評価の際に自用地評価から20%の減額となり、使用貸借の場合には自用地評価になるということです。

一見借地権の設定等が有利と思えますが、地代の支払いが必要であること及び土地を借りている法人が被相続人が同族関係者となっている同族会社であれば、株価の評価の際に20%の借地権を計上しなければならないといったことも考慮に入れておく必要があります。

法人設立後に株を贈与するという方法

法人設立時に子供を株主とできなかった場合には、設立後に株を親から子に贈与することにより同じような効果を得ることができます。

株を贈与する際には財産評価基本通達により評価する必要があるのですが、この評価によると建築費のほとんどが借入による場合には、建物の評価額は固定資産税評価額になるため株価はかなり低額となりまた資本金が低額であれば0となる可能性もあります。

しかし、課税時期前3年以内に取得又は新築した土地等及び家屋等の価額は、課税時期における通常の取引価額によって評価するといった規定がありますので、新築から3年超経ってから贈与した方が良いということになります。

まとめ

この不動産所有法人による節税方法は、なにも土地を持っている方だけに使える手法ではなく、新たに投資用不動産を取得しても行うことができます。

ただし、不動産の購入を前提としたものですので、不動産の目利きにある程度自信のある方を対象とした手法といえるでしょう。

また、前段の場合よりも自己資金のウエイトが高くなる場合が多いので、資本金や役員借入金が多額になる可能性が高くそれらの贈与にやや時間がかかります。

そういった場合には、相続時精算課税を利用することも検討に値します。

このスキームは、時の経過と共に大きな節税効果がありますが、そもそも不動産の取得の際には収益性やキャッシュフローのシミュレーションが何よりも重要ですし、株価評価における不動産の評価の観点から被相続人の方があまりに高齢な方だとお勧めできません。

また、似たような考え方に個人で資産と負債を同時に贈与するといった方法を考える方もいらっしゃるかと思いますが、これは負担付贈与といって節税効果が得られないこととなっています。

不動産保有法人を活用した相続税の節税に興味のある方はこちらのお問い合わせフォームからお問い合わせ下さい。

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