経営通信

非居住者や外国法人からの不動産購入取引に係る税務

サラリーマンには身近な源泉徴収制度

税金の納税方法の一つとして源泉徴収という制度があります。税金は、負担者が納税するのであればわかりやすいですが、給料や一定の費用などの支払者が負担者に代わっていったん概算でも納税して、その後負担者が正式な金額を計算して精算するという仕組みです。

代表的で身近なものには、給料支払い時の所得税や、利子や配当を受け取る際の源泉税があります。

これらは、支払者に源泉徴収義務が課され、この義務を果たさなければ、本来の負担者でないにも関わらず、納税が強制され、期限に間に合わなければ不納付加算税や延滞税が課されることとなっています。

源泉徴収義務者である支払者が源泉徴収をせずに、源泉徴収義務を課されている金額も含め、給与等を支払ったとすると税務調査等において税務署は源泉徴収義務者に納税させ、税務署は本来の負担者とかかわりあうようなことはしないことがほとんどです。

つまり、本来の税金の負担者は、源泉徴収されるはずだった金額を受け取っているわけですから、源泉徴収義務者は、支払った相手方からその分を返してもらう権利、つまり求償権があるはずですが、源泉徴収義務を怠った方にも責任があるといった側面もあり、払ってしまったものを返してもらうことはそう簡単なことではありません。(税務署は、原則として、既に納付した所得税等の額の支払いを売主に請求等することができますとは言っていますが、非居住者や外国法人であれば尚のこと容易でないのは想像に難くないでしょう。)

源泉徴収という制度は、一般的に源泉徴収義務があるのは、会社や事業主であるため、経営をしているのですから、その程度の税務リテラシーは持っていて当然という当局の考え方なのでしょう。

制度としては、多くの税務リテラシーが低いと考えられる給与所得者から税金を取るよりも、会社や事業主に義務を課してまとめて手続きをしてもらうといった意味では合理的で優れているといえるかも知れません。

不動産購入時に源泉徴収?

前置きが長くなってしまいましたが、ただ今回ご紹介するのは、会社でも、個人事業主でもない方であっても源泉徴収義務が課されているレアケースともいえる制度です。

つまり、普段から源泉徴収といったものとは縁遠い方でも課されている源泉徴収義務でありしかも多額になる場合もあるので特に注意が必要ということで取り上げさせていただきます。

これは、非居住者や外国法人から、日本国内にある土地や建物等の不動産を購入した場合、買主はその不動産の譲受対価の支払い時に、支払対価のうちの一部を源泉徴収し、税務署に納付しなければならないという制度です。

ただし、購入した不動産の譲受対価の額が1億円以下で、かつ、その不動産が自己又はその親族の居住の用に供するために譲り受けたものである場合には、源泉徴収及び納付をする必要がないとされています。

また、源泉徴収する額は、不動産の譲受対価の額の10.21%とされ、譲受対価を支払った翌月10日までに税務署へ納付する必要があります。

源泉徴収義務は、逆の言い方をすると、非居住者や外国法人から不動産を購入した場合でも、自己又は親族の居住用であって1億円以下であれば、源泉徴収義務は無いということになります。

つまり、投資用の不動産であれば全て、自己の居住用であれば高額な場合に限り源泉徴収義務があるということになります。

また源泉徴収の対象となる金額は、いわゆる所得等利益に対してではなく、譲渡対価(売却金額)が対象という点で、所得に対する場合より高額になるということが特徴的であるといえます。

つまり、何気なく選んだ不動産物件が、非居住者や外国法人の所有物件であり、それを賃貸に出す等の投資用物件である場合や、自分で居住用にしようとする場合であっても1億円以上であれば源泉徴収しなければならないということになります。

源泉徴収し忘れると大変なことに

これは、不動産取引というものに馴染みがない一般の方が、非居住者や外国法人の所有物件を1億円で買って源泉徴収をしなかった場合、税務調査等により1,000万円以上の額を税務署に納税し、不納付加算税等を支払い、その購入先の非居住者や外国法人に返してもらわなければならない、あるいはなかなか返してもらえないといった事態に陥る可能性があるということです。

そして、ご存じの通り、非居住者や外国法人所有の不動産物件は、年々増加しており、また、不動産価格も上昇しているため、これに該当する方も年々増加しています。

税務署としては、非居住者や外国法人の納税について、捕捉が難しいこと、あるいは、1億円以上といった高額な不動産を購入する富裕層の方にはそのくらいの税務リテラシーは持っているでしょう、あるいは仲介業者さんもそのくらいの指導はしてくださいねといったことなのでしょうが、一般的に売却時には税金がかかるかどうかを注意しますが、購入した時にはその取引に係る確定申告義務がないこともあり、税理士に相談することさえも思いつかない場合もあると考えられます。

我々としましてはこうしてこういった場を借りて注意喚起をするしかないというのが実情です。

不動産の売買にまつわる税のご相談はBPS国際税理士法人までお気軽にどうぞ。

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